今回はとても簡単に応用がきく言葉を取り上げます。標題のイディオム gameplanとはあらかじめ詳細に練られた戦術・戦略のことを言います。出典はアメリカンフットボールです。
アメリカンフットボールは「フィールド上のチェス」と呼ばれるほどに戦術面の発達したスポーツです。オフェンス、ディフェンスともに多岐にわたるフォーメーションを駆使し、プレーごとに個々の選手の動きが細かく決められています。一人一人の選手の身体能力がそれほど優れていなくても、戦術がしっかりと立てられていれば弱いチームが強豪を破る番狂わせを演じることも十分に可能です。
実際に、去年・今年とスーパーボウルを連覇したニューイングランド・ペイトリオッツは、ほかのチームを解雇されたような選手を集めるなど必ずしも有能なタレントばかりがそろったチームではありません。しかし、優れた戦術で選手の能力を引き出し、2001年以来わずか4年間で3度の優勝を果たすほどの強豪チームを作り上げたのです。これがアメリカンフットボールの醍醐味のひとつでもあります。それだけgame planとはこのスポーツでは重要な意味を持つのです。
転じて、このgame planは「仕事などにおける今後の計画」という意味に使われます。使い方はいたって簡単。What is our(場合によってはyourなどを使い分けます) game plan?これで十分です。簡単でしょう?
僕もときどきこの言葉を使います。会社に来たときに、すでに仕事をしている編集者にWhatis your game plan?と問いかけます。すると、その編集者には「今日はどういうニュースがあって、その選択やレイアウトはどう考えているのか?」という意味に伝わります。その答えによって、今日の自分の仕事の手順(いわばこれが僕のgame plan)を考えるのです。
仕事ではなくても、友達と待ち合わせして遊びに行くときにこのフレーズを使えば「今日はどこに行こうか?」という意味になります。さあ、明日といわず、今日早速使えるスポーツ用語ですよ。
余談ですが、皆さんよくご存知のgameという言葉には実にたくさんの意味があるのです。一般に「試合」を指すことが多いのですが、文脈によっては競技そのものを指すこともあります。次の例文を考えて見ましょう。
Barry Bonds is one of the best long-ball hitters in the game.
Barry BondsとはMLBでも最強のホームランバッターの一人です。この場合のgameは単に「試合」ではなく「野球」という競技そのものを意味します。だから、例文の訳は「バリー・ボンズは野球界でも最も優れた長距離バッターの一人だ」となります。
簡単な単語ほどたくさんの意味を持ち、いろんな使われ方をするのだという一例です。
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