日本のプロ野球に遅れること10日あまり、北米でもメジャーリーグが開幕しました。これから秋まで熱い戦いが繰り広げられます。松井秀喜選手やイチロー選手を始め、今年からメジャーに挑戦している薮恵一投手、井口資仁選手、中村紀洋選手らの活躍も楽しみです。
いよいよ、シーズンが本格化する野球とは裏腹に、僕の得意分野であるプロフットボールリーグNFLは今月末に大学選手を対象としたドラフトが行なわれます。現在はどのチームがどういった選手を指名するのか、いろんな情報を集めて分析している最中です。
当然のことながら、プロと大学のフットボールではパワー、テクニック、スピードの点で大きな差があります。プロでも通用する選手を発掘してドラフト指名するのは非常に難しいもので、上位指名を受けながら活躍できずに消えていく選手が決して少なくありません。プロで成長できる選手をいかに見極めるかがいわゆるフロント陣の手腕が問われるところです。
ときには、意表をつくドラフト指名もあります。大学時代の評判は決して高くない選手が、1〜3巡という早いラウンドで指名を受けた場合です。そんなとき、フットボール評論家は選手を評して"The player is a long shot."などと言い立てるのです。
Long shotとはもともとは射撃で使われていた用語で、遠くに離れた的を撃つことを言い表しています。遠くにある的は、それだけ当たりにくいことから、転じて「成功する確率が少ないこと」、「危険な賭け」という意味が生まれました。
ですから、上の例文の意味は「その選手が成功するかどうかは賭けになる」という意味になります。つまり、評論家は選手の能力を高く評価しておらず、プロに入ってからの活躍は疑問だという意味を言外ににおわせているのです。
また、これをポジティブにとらえると、「時間はかかるかもしれないが、そのうちに成果が現れることを期待できる」と逆の意味に使うこともできます。使い方は人それぞれですが、言外にニュアンスがにじみ出てしまうので、言い方や文脈の流れには注意したいものです。
Shotという言葉はスポーツ界ではよく使われます。野球で使えばヒットのこと(文脈によってはホームランのことを)、サッカーではシュートの意味で使われます。また、shotには「試しにやってみること」というニュアンスもあって、long shotはどちらかというとこちらの用法だといえるでしょう。
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