スポーツに競争はつきもの。それは、試合の勝敗を賭ける相手チームとの競争のみならず、ポジションを争う場合のように自分の所属するチーム内でも同じことです。むしろ、チーム内競争の方がし烈な場合も少なくありません。
プロ野球セ・リーグの読売ジャイアンツに清水隆行という選手がいます。この選手は先週4月20日、今季9打席目にしてようやく初ヒットを放ちました。セ・リーグ開幕から3週間目のことです。
清水選手は昨年135試合に出場し、打率306、本塁打16本、打点60という好成績を残しましたが、今季はここまで控えに甘んじています。それは、ジャイアンツが今季からゲーブ・キャプラーという元メジャーリーグ選手を獲得し、清水に代えて起用しているからです。つまり、清水はキャプラーとのチーム内競争に勝てなかったのです。
このように、競争で敗れたり、くじ引きなどで除外されてしまう人のことをthe odd man outといいます。
このイディオムはスポーツのみならず、選挙で候補から外れてしまう人を指す場合などにも使われます。
Odd man outはもともとコイントスから発生した言葉だといわれています。3人でコイントスをすると、ひとりだけコインの違う側を出してしまう場合があります。そのひとりが抜けるというゲームがこの言葉の起源なのです。Oddは「奇数の」という意味で使われることが多い単語ですが、「余分の、端数の」という意味もあり、コイントスでひとりだけ違う側を出した人が「端数」となって除外されてしまうのです。 the odd man(端数の人)がoutになる(=外される)と考えれば、このイディオムを理解するのは簡単です。
コイントスで表を「heads」、裏を「tails」と言うのはご存知ですね。これは欧米の硬貨では片側に人物の肖像画を彫りこむことが一般的だったからだといわれています。
余談ですが、アメリカンフットボールではこのコイントスがとても重要な役割を持ってるのです。試合が始まるときに、どちらのチームがキックオフをするのかを決めるのはコイントスです。また、シーズンが終わったときに2つ以上のチームが全く同じ勝率で並ぶことが珍しくありません。このうちひとつのチームしかプレーオフに出場できないという場合に、問題はややこしくなります。こういうとき、プロフットボールNFLでは、同じ地区内やカンファレンス内での勝率や、共通する対戦相手との勝敗成績など、いくつかの条件で同率チームの優劣を決します。その条件は7つほどあって、通常は第1〜3の条件でチームが絞れてしまいます。ところが、もし、全ての条件をもってしてもチームの優劣が決しないとき、最後はコイントスで決めるというのがルールになっているのです。ただし、80年を超えるNFLの歴史で、いまだかつてプレーオフの出場チームをコイントスで決定したことはありません。
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