先日、子供をつれてサーカスを見に行きました。僕自身、子供のころに一度見たことがあるだけで、実に約30年ぶりの体験でした。猛獣使いに空中ブランコ、綱渡りと内容は昔から変わらないもの。「そうそう、サーカスってこういうものだったよなあ」と懐かしく思い出しました。
サーカスで観客を沸かすものといえばやはりピエロ。コミカルな動きとユーモアに富んだしぐさで大いに楽しませてくれます。日本語で道化師というだけあって人を笑わせるのが仕事ですが、それだけでなく、ピエロも素晴しい芸を持っているものです。僕が見たサーカスのピエロの技で最も拍手を浴びていたのはボウリングのピンを使った曲芸でした。3〜4本のピンを空中に投げて、キャッチしてはまた投げて、そのすきに別のピンをキャッチしてまた投げて・・・・。少しでもタイミングがずれればピンを落としたり、ピン同士が空中でぶつかり合ってしまうのに、そこはやはり芸人の技。見事なものでした。
さて、この昔からある「ジャッグリング」という曲芸から生まれた言葉が今回のテーマ、up in the airです。まさにピンが空中にある状態を言い表しています。空中にあるピンは非常に不安定な状態にあります。そのことから、up in the airは「(物事が)不安定である」「決まっていない」という意味になります。
また、空中に上がったピンは横から奪おうとすれば誰にでもキャッチすることができます。これが転じて「誰にもチャンスがある」という意味にも使われます。
Who plays the starting pitcher this season is up in the air.
という文章を考えて見ましょう。「Who plays the starting pitcher this season(今季の先発ピッチャーを誰が務めるのか)」という物事が不安定な状態である、つまり、決まっていないというのがこの英文の意味になります。訳すとすれば「今季の先発ピッチャーを誰が務めるのかはまだ決まっていない」となります。
この例文の場合でも、例えば先発ピッチャーにふさわしい選手がいなくて監督が頭を悩ませているという状況も考えられますし、逆に候補選手が何人かいて、その選手たち全てにチャンスがあるという意味にも取れます。同じup in theairでも状況次第でネガティブにもポジティブにもなるのがお分かりいただけると思います。どちらの意味になるかは前後の文脈で決まります。
僕が見に行ったサーカスは東京・調布にある味の素スタジアムの横に、大きなテントを張って興行していました。そこで思った疑問。サーカスではキリンやライオン、トラといった動物たちが「出演」していたんだけれど、サーカスの行なわれていない時間、彼らはどこにいるのだろう。僕が見た限りではおりのようなものはなかったようなのだけど・・・。
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