"I thought football would be irrelevant, but it's not.They want us to play, so now I'm more spirited to do that."
(ニューオーリンズ・セインツWR ジョー・ホーン)
これまでに紹介してきた名言はいくらか年月のたった有名な言葉が多かったのですが、今回は最近の出来事の中から取り上げます。
この言葉を発したのはNFLニューオーリンズ・セインツというチームでWR(ワイドレシーバー)として活躍するジョー・ホーン選手です。
ニューオーリンズといえば8月下旬に発生したハリケーン「カトリーナ」によって壊滅的な被害を受けた街です。海抜が低いために街の8割が水没してしまうという未曽有の被害が日本にも伝えられました。セインツはそのニューオーリンズを本拠地とするチームです。
ニューオーリンズの人々はハリケーンの被害を避けるために一時的にセインツのホームスタジアムであるルイジアナスーパードームに避難していました。ところが、カトリーナはこのスーパードームさえも破壊してしまい、避難していた2万人以上の人々はさらにテキサス州ヒューストンにあるアストロドームに難を逃れることになったのです。
ホーンは試合のためにニューオーリンズを離れていて、自身は直接的な被害を免れました。そこで、オフの日にアストロドームを訪れ、被災者を慰問したのでした。アストロドームに到着する前のホーンは、被災者の感情をおもんぱかり、フットボールをする気分になれなかったそうです。ところが、実際に被災者たちと触れ合い、話をするうちに、絶望のふちにある彼らがセインツの活躍を期待し、それを心の支えにしていることに気付きました。そこで発せられたのが標題の言葉です。
Irrelevantとは「不適切な」とか「見当違い」といった意味の単語です。ここではハリケーンの被害の甚大さを考えると、一つのスポーツにすぎないフットボールは不謹慎に思われるといった意味でしょう。しかし、被災民たちのセインツにかける思いに直接触れたホーンはそれが間違いだったと考え直します。彼らが望んでいるのはセインツが勝ち進むことによって勇気を与えてくれることだったのです。
そこでホーンはフットボールがやる気になったという自分の気持ちをI'm more spirited to do that.という言葉で表現しています。Moreを使っていることで、人々と直接触れ合う前の、「フットボールなんてしている場合じゃない」と思っていたことに比べて心情に変化が訪れたことがうかがえます。そして、spiritedということで「心から」という気持ちを強く前面に出しているのです。この単語を使うことによって心が揺さぶられたことがよく分かります。
ホーンの慰問を受けた被災民たちのひとりは次のように感想を述べています。
"Horn came to show us love. It means so much to see him here and know that he cares."
最後のhe caresに感情がこもっています。Careとは「人を思いやる」という意味です。家を失い、家族を失った被災者たちにとって「誰かが自分たちのことを思いやってくれている」と実感することが何よりの励みになるのでしょう。こういった単語のひとつひとつの使い方のよって、感情をうまく表現するやり方が英語にはあります。
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