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記者ほど素敵な商売はない

By Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

ジャパンタイムズ運動部記者、アメリカンフットボールライター、TV解説者のさまざまな顔を持つ生沢浩が15年間の記者生活のなかで見聞きしたこと、思ったことなどを紹介するコラムです。
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Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

Vol. 18 : スーパーボウル取材は記者の登竜門

 スーパーボウルとはアメリカのプロフットボールリーグNFLの優勝決定戦で、現在は毎年2月の第1日曜日に開催されます。全米でも最も人気のあるフットボールのチャンピオンシップゲームとあって、大いに盛り上がります。

 出場する2チームはゲームデーの1週間前の日曜日もしくは月曜日に開催地に到着します。この日からゲームデーまでを特に『スーパーボウルウィーク』と呼び、さまざまなイベントが用意されています。

 僕たちメディアにとってこのスーパーボウルウィークは報道合戦の1週間でもあります。チームが到着した日にさっそく記者会見があります。メディアのスーパーボウルウィークはこの会見で幕を開けるといっても過言ではありません。この会見では思わぬ爆弾発言が出るので、注目度が高いのです。

 選手たちは夢のスーパーボウル出場を決めた興奮からまださめておらず、口も軽くなっていますから相手を挑発する発言のひとつもしてみたくなる心理状態にあるようです。こういった発言が出やすいのが初日の記者会見です。

 火曜日には開催地となるスタジアムでフォトセッションとインタビューセッションがあります。これはメディアデーと呼ばれ、テレビでも大きく取り上げられます。主力選手はそれぞれお立ち台に座り、メディアはお目当ての選手に群がります(まさに「群がる」という表現がぴったりなほど、メディアでごった返すものです)。

 水曜日と木曜日は選手の宿泊しているホテルでインタビューセッションが行なわれます。メディアが選手たちと接触できるのはこの日まで。これを過ぎると試合当日までメディアは選手に取材をすることができません。

 金曜日には両チームのヘッドコーチの記者会見とコミッショナーの定例会見があり、土曜日には殿堂入りが発表されます。

 この間、各メディアは選手の隠れたエピソードを探り出し、独自のニュースを展開しようと躍起になります。豊富なデータを用意し、関係者のコメントを聞きまわり、選手の人となりを浮き彫りにします。ある新聞に掲載された記事が話題となり、翌日からその話題で持ちきりということもよくあります。

 96年シーズンのスーパーボウルでは、出場していたペイトリオッツのヘッドコーチがほかの球団と水面下で移籍交渉をしていたことが明らかになり、大問題となったこともありました。こうなると、メディアの報道はこの騒動で持ちきりになります。当然、チームに動揺も走ります。結局そのチームはスーパーボウルで敗れ、ヘッドコーチはシーズン終了後に件のチームに移籍したのでした。

 僕が初めてスーパーボウルウィーク全般を取材したときに、この報道合戦の激しさに驚いたものです。そして、アメリカの記者たちの精力的な取材活動にも感じ入りました。日本のスタイルとは違う部分もありますが、同じメディアに携わる人間として非常に勉強になったものです。

 僕が毎年スーパーボウルに行くことにこだわっているのは、スーパーボウルウィークを過ごすことによって自分のメディアとしてのあり方を見直すことができるからです。僕にとって最も大事なのはスーパーボウルウィークを過ごすことであって、試合そのものの重要性はそれほど高くありません。試合のキックオフまでに僕の仕事の8割は終わってしまっているといっても過言ではありません。

 今年で僕のスーパーボウル取材は13回目を迎えました。その間にいろんな体験をし、さまざまなことを学んできました。ただ、スーパーボウルはシーズンの最後の試合なので(厳密にはこの1週間後にオールスター戦がありますが)、せっかく取材したことも発表する場が限られてしまいます。僕はテレビで試合解説もしますが、シーズンが終わってしまうとスーパーボウルで見たことを視聴者に伝える場がないのです。やはり、レギュラーシーズンを取材した方が、そこで見聞きしたことをフットボールファンに伝える機会が多くあります。そんなことを思いながら、そろそろスーパーボウル取材から卒業しようかなと考えている今日このごろです。

次回予告:僕に仕事を教えてくれた人たち

 僕が入社したころのジャパンタイムズスポーツ部は先輩が新人に手取り足取り仕事を教えてくれるほど親切な部署ではありませんでした。いきなり取材に行かされた僕が仕事を教わった相手とは?

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