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記者ほど素敵な商売はない

By Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

ジャパンタイムズ運動部記者、アメリカンフットボールライター、TV解説者のさまざまな顔を持つ生沢浩が15年間の記者生活のなかで見聞きしたこと、思ったことなどを紹介するコラムです。
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Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

Vol. 19 : 僕に仕事を教えてくれた人たち

 1991年4月に僕が入社したころのジャパンタイムズ運動部は僕を含めて日本人が4人、外国人エディターが3人という小さい所帯でした。外国人エディターは社内での編集、校正作業が主な仕事で、日本人も2人がデスクだったので、実際に取材に出て記事を書くスタッフは2人という状態でした。

 僕は入社してからしばらくは社内で記事を書く訓練をしましたが、そのうちに外に取材に行かされるようになりました。しかし、人数が少ないスポーツ部では新人の取材に同行して、仕事のイロハを教えるという余裕はありません。僕は取材の仕方もろくに分からないうちから、いきなり現場へと放り出されてしまったのでした。

 取材にはいくつかのテクニックが必要です。試合を取材するときは、勝敗の行方を左右する場面を逃さず捉える必要があります。そのためには競技のルールはもちろん、歴史的背景や選手のプロフィールなどを事前に学んでおかなければなりません。コメントをもらうときも、記事に使えるコメントを引き出すように質問をすることも大切です。

 今でこそ、こういうテクニックは知っていますが、駆け出し記者の僕は何も分かりませんでした。そこで僕が参考にしたのは他社の先輩記者でした。

 始めのうちはベテラン記者のあとを付いて回り、取材対象である選手よりもそれを取り巻くメディアを観察したものです。コメントを取るときの位置の取り方から、話しかけるタイミング、メモの取り方までじっくりと観察して真似るようにしました。記者が選手に投げかける質問をメモして、あとで分析したこともありました。

 時には単刀直入に取材方法の指導をお願いしたこともありました。新人だからできたことです。幸いに、僕の周りには面倒見のいい先輩記者がたくさんいました。僕自身も体育会出身なので、同じく学生時代に体育会でスポーツをしてきた先輩たちには特に可愛がってもらいました。彼らは他社であるにもかかわらず、時にはお酒を飲みながら試合の重要な場面の見極め方や選手との付き合い方などを伝授してくれたものです。今から思えば、僕に仕事を教えてくれたのはこういった他社の先輩たちだったのです。

 彼らは今ではそれぞれに偉くなり、デスクになったり管理職になったりしています。取材現場で会うことはなくなりましたが、今でもたまに飲みに行っては昔話に花を咲かせています。

 3年ほど前のことです。僕は社会人アメリカンフットボールの試合を取材するために東京ドームにいました。すると、ふいに携帯電話が鳴り出しました。出ると、新人時代にとてもお世話になったS社のG先輩です。当時、すでにデスクになっていました。彼は「今日、うちの社の新人がアメフトの取材に行くから、いろいろと教えてやってくれ」と言うのです。思わず時の流れを感じました。その先輩からもたくさんのことを教わりました。今度はその先輩の部下に、僕が仕事を教える番になったのです。

 その取材が終わったころ、再びG先輩から電話がありました。お礼の電話でした。こうしたフォローのできる先輩を上司に持ったS社の新人記者さんを僕はとてもうらやましく思いました。入社15年を経て、僕にもたくさんの後輩ができました。僕は彼らにとってGさんのような先輩でいてあげられているのだろうか?

次回予告:追悼 篠竹幹夫監督

 先日、日本大学アメリカンフットボールチームの監督として一時代を築いた篠竹幹夫監督が7月に亡くなっていたことが明らかになりました。僕にとってはフットボールの現役時代には対戦相手、社会人になってからは取材対象としてとても印象に残った人でした。来週は篠竹さんへの追悼の言葉を書きたいと思います。

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