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記者ほど素敵な商売はない

By Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

ジャパンタイムズ運動部記者、アメリカンフットボールライター、TV解説者のさまざまな顔を持つ生沢浩が15年間の記者生活のなかで見聞きしたこと、思ったことなどを紹介するコラムです。
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Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

Vol. 21 : 記者の七つ道具

 何年か前に小学生向けの学習雑誌から取材を受けたことがあります。いろんな職業で使用する仕事道具にはどんなものがあるのかを子供たちに紹介する企画でした。そして、その道具を揃えるのにどれくらいの費用が必要かを比較したのですが、最もコストがかかっていたのは実は新聞記者の僕でした。

 ほかの職業に比べて僕の仕事道具が高価だったのはノートパソコンが含まれていたためです。いまや新聞記者にはパソコンは欠かせません。では、記者はほかにどんな道具を使用するのでしょうか。今回は僕らが日常的に使う「七つ道具」をご紹介しましょう。もっとも、「七つ道具」というのは常に使用する道具という意味で、厳密に7種の道具を用いるというわけではありません。

 取材で必要なものは第一にノートと筆記具です。これは当たり前ですね。これがなくては仕事が始められません。ただ、何を取材するかによって多少の違いはあります。記者発表のようなものならノートとペンだけあればこと足ります。

 スポーツ記者が試合を取材するときはスコアブックを使うときもあります。僕は野球とフットボールのゲームを取材するときには専用のスコアシートを使います。野球は市販されているスコアブックを、フットボールはアメリカの大学で相手チームの研究(スカウティングと言います)をする際に使用する独特の用紙を使っています。

 これらはいわばアナログな道具で、新聞記者という職業ができてからそう大きくは変わっていないものです。昨今幅を利かせているデジタル機器は新聞記者の七つ道具を大きく変えてきました。

 インタビューの際にはレコーダーを使用します(あとでテープ起こしをする手間を嫌って、絶対に使用しないという人も中にはいますが)。僕の場合は必ず2台は用意します。インタビューの瞬間に不具合が起こる可能性がないともいえませんから。このレコーダーもこの10年ほどで大きく変わりました。

 入社したてのころに使っていたのはテープレコーダーです。通常の大きさのテープレコーダーとマイクロテープレコーダーの両方を持っていました。マイクロは小さくて便利なのですが、急にテープが足りなくなったときにコンビニなどで気軽に購入できないという難点がありました。記者はレコーダーを酷使するのでよく壊れます。僕が今使っているレコーダーは5台目になります。

 レコーダーはテープからDAM、MDとメディアを変え、現在ではICレコーダーを使う記者も増えました。僕も1台使っています。ただし、ICレコーダーはボタンのご操作ひとつでデータが全て消去されてしまう怖さがあります。僕は今でもテープを併用しています。アナログからの完全脱却はなかなか難しいものです。

 パソコンは取材先から記事を入稿する必要があるときに持ち歩きます。このパソコンもより軽量になり、スピードもアップしました。僕が最初に持ち歩いたパソコンはノートとはいえ、2kgはある重たいものでした。HDも2MB くらいの容量しかなかったのではないでしょうか。インターネットの時代が訪れる以前の話です。パソコン通信で記事を送るのが主な用途でした。

 パソコンの進歩とともに記事の送信方法も変わりました。最初はパソコン通信で、長い記事だと送信が終わるまでに2〜3分はかかったものです。それが今では電子メールで、何倍もの分量を数秒で送れます。入稿に要する時間は記者にとってはとても重要です。入稿に戸惑ったがために締め切りに間に合わなかったという経験も何度もしました。電子メールになってからはあまりそういうことはありません。

 インターネット接続方法もかつてはモデムと電話線をつないでいました。今でもこのやり方をする記者は多いです。ただ、最近は携帯電話や無線LANをつかう人も増えました。場所を選ばずに入稿できる便利さがあるからです。

 フォトグラファーが同行できないときは記者が写真を撮ることもあるので、カメラも持ち歩きます。これもフィルムを現像するカメラからデジカメへと変わってきました。

 こうしてみると、記者の七つ道具はデジタル機器のオンパレードですね。機器の進歩に敏感なのも記者に必要な資質なのかもしれません。

 記者が使う七つ道具の中にはスポーツ記者特有のものもあります。前述のスコアブックを始め、双眼鏡やルールブックなど。冬に屋外で取材するときには足まですっぽり覆うスタジアムコートが便利です。長野オリンピックを取材したときにはダウンジャケットとスノートレッキングシューズが必要でした。

 これらの道具を全て持っていくと大変な荷物になります。スタジアムは駅から離れた場所にあることも多いので、時には荷物を抱えて歩くことを覚悟しなければなりません。新聞記者って重労働なんです。

次回予告:フットボールのシーズン到来!

 僕の専門分野であるアメリカンフットボールのシーズンが間もなく開幕します。次回はフットボール記者としての活動をご紹介します。

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