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記者ほど素敵な商売はない

By Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

ジャパンタイムズ運動部記者、アメリカンフットボールライター、TV解説者のさまざまな顔を持つ生沢浩が15年間の記者生活のなかで見聞きしたこと、思ったことなどを紹介するコラムです。
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Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

Vol. 44 : 第41回スーパーボウル

 日本時間の5日午前に、アメリカンフットボールのプロリーグ、NFLの王座決定戦であるスーパーボウルが行われ、インディアナポリス・コルツが36年ぶり2度目の優勝を果たしました。

 スーパーボウルについては以前にもこのコラムで取り上げたことがあります。1スポーツのイベントとしては世界最大級の試合で、世界中で8億人以上の人がテレビを通じて観戦するといわれています。

 僕は昨年まで13年連続でこの試合を現地観戦していたのですが、今年は思うところがあって日本でテレビ観戦しました。現地で取材をしていると、まさに全てがスーパーボウル一色で、現実離れをした印象を受けます。優勝決定戦とはいえ、わずか1試合のために10万以上の人が開催地を訪れ、その経済効果は300億円ともいわれます。

 14年ぶりに日本でスーパーボウル当日を迎えると、なんて静かなのだろうと思います。1週間前から異常な盛り上がりを見せる現地とは天と地ほどの差があります。日本ではスーパーボウルはおろか、NFLも認知度は高くありませんから、あたり前の話なのですが、僕はむしろ改めてスーパーボウルの人気と規模の大きさを実感したような気がしました。

 今回は41回目の大会となりましたが、史上初めて黒人のヘッドコーチが率いるチームが出場するということで話題を呼びました。これまでは黒人ヘッドコーチがスーパーボウルに出場したことはなかったのですが、今回は両チームのヘッドコーチが黒人という、歴史的な試合となりました。

 その一人、優勝したコルツのトニー・ダンジーヘッドコーチ(アメリカンフットボールでは「監督」の立場にある人を「ヘッドコーチ」と呼びます)は黒人のNFLでの地位を高めるために長年尽力してきた人でした。彼は20年以上前にNFLのアシスタントコーチになったとき、自分がヘッドコーチになる日が来れば、可能な限り若い黒人コーチにチャンスを与えようと決心しました。

 そして、1996年にタンパベイ・バッカニアーズのヘッドコーチに就任したときにその夢が実現しました。彼は若い黒人コーチを積極的に登用し、育成しました。今回対戦したベアーズのラヴィ・スミスヘッドコーチは、実はこのときダンジーに見出されてNFLのコーチとなったかつての弟子だったのです。

 ダンジーは自分がスーパーボウル進出を決めたとき、「私はアフリカ系アメリカ人(アメリカでは黒人をこのようにいいます)であることを誇りに思っている。でも、私の本当の望みは、スーパーボウルに進出したヘッドコーチがアフリカ系アメリカ人であるということが話題にならないほど当たり前になる日がいつか来ることだ」と述べています。その彼がスーパーボウル史上初めて優勝した黒人ヘッドコーチになったことは意義深いことでした。

 ダンジーは有能なヘッドコーチですが、実は昨年まではスーパーボウルに縁がなかったのです。弱小チームを強豪にまで作り変える手腕には定評があったのですが、いつも大事なプレーオフの試合で負けてしまい、「ビッグゲームに勝てないヘッドコーチ」とのレッテルを張られました。

 近年は私生活で不幸にも見舞われました。2002年に母を亡くし、ついで2004年には父までもが鬼籍に入りました。そして、一昨年は長男が自殺するという事件が起きます。そのたびにダンジーは「これは神が私に与えた試練だ」と言って、困難を克服してきました。

 こういった経緯を思うとき、優勝が決まった瞬間に選手たちに肩車されたときのダンジーの感激はひとしおだったろうと推測します。

 このコラムを読んでくださっている方の多くはスーパーボウルをよくご存知ではないでしょう。でも、そういった中にもいろんなドラマがあるということを知っていただきたくて今回はあえてスーパーボウルの話題を取り上げました。

次回予告:さあ、オフだ!

 スーパーボウルが終わり、これで僕のNFL関係の仕事もひと段落。いよいよオフに入ります。もちろん、ジャパンタイムズの本業にオフはありませんけど(笑)。さ〜て、何をしようかな?本も読みたいし、映画も見たい。皆さんはどんなオフ(休日)を過ごしていますか?オフの過ごし方って、実はとても大切なんですよね。

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