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記者ほど素敵な商売はない

By Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

ジャパンタイムズ運動部記者、アメリカンフットボールライター、TV解説者のさまざまな顔を持つ生沢浩が15年間の記者生活のなかで見聞きしたこと、思ったことなどを紹介するコラムです。
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Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

Vol. 46 : フランチャイズ制の意味

 スポーツリーグのあり方というのはスポーツの性格やそのリーグの存在する国・地域によってさまざまです。あらゆるリーグの中で最もポピュラーなものはフランチャイズ制でしょう。

 フランチャイズ制というと一般的には飲食店や大型スーパーのチェーン店を思い浮かべますが、スポーツの世界では地元密着型のリーグ構成を言います。つまり、プロスポーツチームが全国に散らばり、その地域に根付いた活動を行ないながらリーグ戦を戦うシステムです。フランチャイズ制が最も象徴的なのは北米スポーツではないでしょうか。

 MLB、NBA、NFL、NHLはいわゆる北米4大プロスポーツリーグと呼ばれます。「アメリカ4大プロスポーツリーグ」と呼ぶ場合もありますが、この4つのリーグはNFLを除いて全てカナダのチームを含んでいるので、「北米」と呼ぶのが正確です。フランチャイズ制を説明するのに、この北米4大リーグを例に取りましょう。

 これら4リーグはそれぞれ30前後のチームから成り立っています。それらのチームが本拠地、すなわちフランチャイズを置く都市は多岐に渡ります。ニューヨークやロサンゼルス、ワシントンDCなどの大きなマーケットとなる都市を始め、ピッツバーグ、デンバー、インディアナポリスといった中・小規模都市までさまざまです。北米リーグの場合は大陸の全土にわたって均等にチームが分散しているというわけではありませんが、それでも複数の州にチームが存在しています。

 これがフランチャイズ制の基本的構造です。さまざまな都市にチームが分散することによって、ファンは地元のチームに対する愛着を深め、それがリーグ戦を盛り上げる効果を生みます。地元のチーム、もしくは出身地のチームを応援したくなるのはファンの自然な心理でしょう。特にアメリカ人は生まれた街や州で一生を終える人も少なくありません。それだけに地元意識はとても強いものとなるのです。

 アメリカ合衆国のペンシルベニア州を例に取りましょう。ペンシルベニア州ではフィラデルフィアとピッツバーグに4大リーグのチームが存在します。フィラデルフィアやその近郊に住む人たちは自然と、MLBならフィリーズ、NBAなら76サーズ、さらにNHLフライヤーズ、NFLイーグルスを応援します。ピッツバーグならMLBパイレーツ、NHLペンギンズ、NFLスティーラーズです(ピッツバーグにNBAのチームは存在しません)。

 さらにこの2都市は同じ州に属するということからライバル意識も芽生えます。これがまたファンの地元意識を強める効果を持っているようです。プロリーグのライバル関係というのはフランチャイズを置く都市が近いほど強くなる傾向があります。MLBならヤンキース(ニューヨーク)とレッドソックス(ボストン)の長年にわたるライバル関係が有名ですね。そして、これらの2チームが同じアメリカンリーグ東地区に所属することがさらにライバル関係を熾烈なものにしているのです。

 ファンはライバル視するチームとひいきチームの対戦を心待ちにし、直に声援を送ろうとスタジアムに足を運びます。そして、勝敗に一喜一憂し、スポーツの楽しさを満喫するのです。

 残念ながらこのフランチャイズ制は日本ではそれほど定着しているとはいえません。日本で早くにプロリーグとしての地位を確立したのはプロ野球ですが、十数年前までは東京や大阪、神戸にチームが集中し、地域密着型の体制が整っていなかったからです。例えば、僕がジャパンタイムズに入社した1991年現在では、東京にジャイアンツ、ファイターズ、スワローズがあり、大阪にタイガース(厳密には兵庫県西ノ宮ですが)、近鉄バッファローズ(現オリックス・バッファローズ)、神戸にオリックス・ブレーブス(現オリックス・バッファローズ)がありました。この3都市だけで12球団中半数にあたる6チームを占有していたのです。89年に福岡にフランチャイズを移すまではホークスも大阪を本拠地としていました。

 地元密着という理念を打ち立ててリーグを発足させたのがJリーグです。Jリーグ発足時に川淵三郎チェアマン(当時)にインタビューしたことがありますが、その際にも地元と歩みを共にするクラブの集合体がJリーグであるとの考えを強調していました。Jリーグの黎明期には東京に所属チームがなかったことも話題でした。

 現在ではプロ野球も東北楽天ゴールデンイーグルスが仙台を本拠地とし、ファイターズが札幌にフランチャイズを移転させるなど地方分散化が進んできました。昨年発足したプロバスケットボールのbjリーグも地方におけるフランチャイズ制を推進しているリーグで、来年にはついに沖縄で初のプロチームが誕生します。

 日本は国土がせまいですから、都市集中型のプロリーグが誕生したのも無理はありません。しかし、昨今のプロ野球やbjリーグの動きなどを見ていると、日本にもフランチャイズ制が定着する日はそう遠くはないのかなとも思います。そうすればまた日本におけるプロスポーツの盛り上がり方も変わってくるのでしょう。

次回予告:アメリカの新聞に見る地元意識

 フランチャイズ制の話が出たついでにアメリカの新聞事情についてお話しましょう。アメリカの「全国紙」がいくつあるかご存知ですか?実は、アメリカでは日本のように全国紙というものがほとんど存在しません。唯一USAトゥデー紙だけが全国紙と呼ばれるもので、有名なニューヨークタイムズ紙やワシントンポスト紙も地方紙に過ぎないのです。

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