アメフトの世界一を決めるワールドカップの開催が近づいてきました。前回もご紹介したとおり、第3回目となる今回のワールドカップは神奈川県川崎市で7月7日に開幕します。
前2回の王者である日本は初参戦してくる本場アメリカに勝って「文句なし」の優勝を手にすることを最大目標としています。では、果たして日本はアメリカに勝てるのでしょうか?
かつて日本とアメリカは幾度か対戦しています。アメリカの単独大学やオールスターチームと日本の大学、選抜チームが80〜90年代に何度も試合を行なっています。結果はいずれもアメリカチームの大勝です。アメリカ国内では決して強いとはいえないアイビーリーグの大学にすら日本は歯が立たなかったのです。
その事実を考えると今年も日本はアメリカには勝てないような気がします。何しろ、今回のアメリカチームにはプロ選手を何人も輩出している一流校でプレーした経験のある選手がたくさんいるからです。
それでも、あえて僕は日本には十分に勝機があると思います。なぜなのか?その根拠をいくつか挙げましょう。
1)日本のフットボールレベルの進歩
確かに90年代までの対アメリカ戦では日本は幾度も苦汁をなめさせられました。しかし、それ以降の日本のフットボール環境は大きく変わっているのです。
まず、NFLの下部組織であるNFLヨーロッパでプロとして活躍する選手が誕生したことです。日本では90年代半ばから毎年数名の選手をNFLヨーロッパに派遣しています。中には河口正史選手(立命館大学卒・現追手門大学フットボール部コーチ)のようにヨーロッパでの活躍が認められて、本場NFLのチームのキャンプに招待された選手もいます。昨年と今年は木下典明選手(立命館大卒)がキックリターナーとして注目されました。
NFLのマイナーリーグ的な存在とはいえ、NFLヨーロッパでプロとして活躍する選手が誕生したことは最近10年ほどの大きな進歩です。
また、関東や関西の大学リーグではアメリカの一流校からコーチや卒業生を招待して日本の大学と合同練習、試合を行なうプログラムもあり、これも日本人選手やコーチの実力を伸ばすすばらしい機会となっています。
アメリカと対戦するたびに力の差をまざまざと見せていた時代はすでに過去のものとなったのです。
2)代表チームは質の高さ
今年の代表チームは技術的に高いものを持った選手がそろいました。特にパス攻撃はスピード、タイミングともに過去の代表チーム以上の技術を持っています。アメリカチームに体格で劣る日本チームは、どうしてもスピードとテクニックに頼らざるを得ません。もちろん、代表チームのこの2点に特化してチーム作りに励んできました。
代表チームはこの春に5試合の壮行試合を行ないましたが、いずれも大差で勝っています。この5試合には在日米軍との2試合も含まれています。
日本人選手を視察するプロ(NFLヨーロッパ)のスカウトは口をそろえて「日本人選手はよく指導されていて、フットボールの知識もある」といいます。フットボールは体力だけで戦うものではありません。相手のミスを徹底的に攻撃する作戦力が試合の行方を大きく左右します。日本人コーチは作戦力に優れ、また、選手たちはそれを着実に実行するだけの技術と知識を持っているとスカウトたちは評価しているのです。
3)地の利
開催地が日本であるというのは有利な条件です。日本チームは会場となる川崎のスタジアムで幾度となく練習や試合を行なっていますからスタジアムのことは知り尽くしています。どのような天候状態でフィールドコンディションがどうなるかをよく知っているのです。これはフットボールの試合ではとても大きな条件となります。
日本の夏特有の蒸し暑さはアメリカチームには相当こたえるのではないでしょうか。過去の何度もNFLのチームが夏に来日し、プレシーズンゲームを行なったことがありますが、選手やコーチは必ず日本の暑さについて言及します。体力の消耗を恐れて屋外では練習をしないほどです。これが予想以上にアメリカチームのスタミナを奪うのではないかと僕は思います。
僕が得た情報によれば、アメリカチームは現在、来日に備えてカリフォルニア州サンノゼで合宿を行なっているそうです。日本とは違い、ワールドカップ前には対外試合は行なわないことになっています。これでは本戦がぶっつけ本番となり、選手のコンディショニングにはあまり理想的だとは言えません。これも、日本に有利に働きそうな条件です。
どうですか?日本が勝てそうな気がしませんか?皆さんもぜひ、スタジアムに足を運んで日本フットボールの健闘をその目で確かめてみてください。
次回予告:その英語は通じません
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