「携帯電話を買い換えた」というテーマで文章を書こうという企画の第3回目です。前回までにテーマを決めて、内容をメモ風にまとめました。今回からこのメモを実際に文章化していきましょう。
では、前回作ったメモを文章にしていきます。
メモ1)
発端:機種変更したいと思った。
いつ?:今年の6月ころ→Docomoでの買い増しを検討→端末機が高価 断念か?
Softbankが新サービスを発表→携帯電話会社変更も検討
このメモは「携帯電話を買い換えた」というテーマの文章の冒頭部分にあたります。ですから、携帯電話を買い換えようと思った発端を述べる必要があります。買い換えを思いついた時期やその理由なども具体的に書きましょう。それでは実際に書いてみます。
「僕の携帯電話の使い方はちょっと人と変わっているかもしれない。通話やメールはもちろんだが、それ以上にミュージックプレーヤーとして使用するからだ。と言っても、電車の中で音楽を聴くことはほとんどない。僕の用途は動画再生が主だ。」
冒頭部分をこのように書き出してみました。いきなり「僕の携帯電話の使い方はちょっと人と変わっているかもしれない」と書き出すことで文章にインパクトを与えます。「携帯電話の話題のはずなのに、その利用方法が変わっているとはどういうことだろう?」という疑問を与えることによって読者の関心を呼ぶことができます。こうすることで読者は次の文を読んで疑問を晴らしたいという欲求を持つようになります。こういう書き出しをした場合、疑問の答はできるだけ早く出すことが大切です。疑問をもち続けながら読むということは読者にとって気持ちのいいものではないからです。
続いて僕がどのように携帯電話を使うかを説明しています。最近の機種はミュージックプレーヤーとしての機能を持つ電話が多いですが、まだその機能を十分に知らない人も多いでしょう。このように書くことで「携帯電話をウォークマン代わりに使うことができる」という情報を読者に与えることもできます。続きを書きましょう。
「僕は週に1〜2度ジムに通って汗を流すが、マシンでランニングをする際に動画を見ながら走ることにしている。こうすると長く退屈なトレーニングも楽しいものになるからだ。
ところが、動画は大きな要領のメモリーを必要とする。僕の携帯電話のメモリーカードは512メガバイトが限界で、これではたくさんの動画を保存することができない。そこで、携帯電話を買い換えたいと思うようになった。」
冒頭部分を受けて、携帯電話で動画を見ながらトレーニングをするという説明に文章は流れていきます。そして、「ところが」という言葉を挟んで話題はいよいよ買い換えを考えるようになった発端へ進んでいきます。
冒頭を受けた部分は「起承転結」で言うなら起→承に向かう部分です。そして、「ところが」以降で話題が転じる、つまり「転」となります。
ここまで書いたところで、買い換えを考えた時期をまだ書いていないことに気が付きます。メモによれば考えた時期は今年の6月。これをどこかに入れたいですね。でも、「(前略)買い換えたいと思うようになった。それは今年の6月だった」とするとあまりにもベタすぎて(説明調過ぎて)面白くありません。こうしてはどうでしょう。
「(前略)買い換えたいと思うようになった。ちょうど、夏のボーナス商戦に向けて新製品が発表になったばかりの今年6月のことだった。」
続きを書きます。
「折を見ては携帯電話売り場をのぞき、新製品を見て回る日が続いた。目当てとする電話は2GB以上の容量のメモリーカードが使える機種。しかし、Docomoユーザーの僕にとっておなじDocomoでの買い換えは非常に高価なものだった。気に入った機種は最新ではなくても1万5千円から2万円ほどの値段がついている。携帯電話にそれほどお金をかけたくない僕は一時は買い換えを断念することになった。
そんな時、Softbankがある新サービスを発表した。基本料金が月980円という安さで、しかもSoftbankのユーザー同士では通話料金が無料になる時間帯があるという。そこで僕は、今まで考えたこともなかった携帯電話会社の乗り換えを検討することになった。」
これでメモ2の内容を文章化することができました。電話会社の乗り換えも考え始めた僕は各社の料金比較をしながらシミュレーションをすることになります。これがメモ2の内容です。次回はメモ2を文章化しましょう。
次回予告:メモを文章化する その2
次回はメモ2を文章化します。メモ2は料金比較のためのシミュレーションです。数字が多く出てくるのでうまくまとめないとわずらわしいだけの文になってしまいます。どのようにすればそれを回避できるのかを見ていきます。
※8月21日更新分は夏休みのため休載させていただきます。ご了承ください。
|