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記者ほど素敵な商売はない

By Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

ジャパンタイムズ運動部記者、アメリカンフットボールライター、TV解説者のさまざまな顔を持つ生沢浩が15年間の記者生活のなかで見聞きしたこと、思ったことなどを紹介するコラムです。
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Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

Vol. 73 : メモを文章化する その3

 「携帯電話を買い換えた」というテーマを基に文章を書いていくシリーズの5回目です。前回までメモ1)と2)を文章化してきました。料金のシミュレーションをしたあと、僕のケースではSoftbankへの乗り換えが必ずしも得にならないという結論に達したところまで文章になりました。今回は残りのメモ3)と4)を一気に文章化していきます。

 メモ3)シミュレーション→Softbankは得にならないとの結論 auの検討→基本料金の問題で断念 ひとまずは携帯電話の買い換えも断念
7月 auが新サービス発表 買い換え計画の再燃

 ここでは今まで話題に出ていなかったもう一つの携帯電話会社auが登場します。読み手に唐突な印象を与えないためにもなぜここでauが登場するのかを説明することが大切です。それでは文章を起こしてみましょう。

 「シミュレーションの結果、僕の携帯電話の使用状況ではDocomoからSoftbankへ会社を乗り換えても必ずしも得にならないということが分かった。日本の携帯電話会社にはもう一つauがある。僕はかねてからauの携帯電話には関心があった。
 デザインもユニークなものが多いし、色もバリエーションに富んでいる。『音楽ケータイ』や『着うた』などのサービスもauの機器が充実しているという印象があったからだ。そこで、ためしにauへの乗り換えも検討することになった。
 しかし、基本料金や通話料などはDocomoと大差がなく、新規契約で乗り換えてしまうとDocomoを長期利用しているために受けられている割引サービスが受けられなくなってしまう。具体的にはDocomoでは10年間使用しているために半額になっている基本料金がauでは全額払わなければならない。そうすれば、いくら新規契約で新しい携帯電話機が格安で入手できても料金で損をしてしまうことになる。やはりauも断念せざるを得なかった。
 こうして、僕の携帯電話買い換え計画はひとたび終わりを迎えたのだった。

 以上の文章の中には「音楽ケータイ」や「着うた」という固有名詞が出てきます。これらの言葉は商標登録がされている場合もあるので正確に記す必要があります。例えば、「ケータイ」という言葉。正式には「携帯電話」と記すべきですが、「音楽ケータイ」とは携帯電話会社が提供しているサービスの名称なのでこのまま記します。

 このコラムを注意深く読んでいる読者にはもうお気付きかと思いますが、僕はこの「文章講座」の中では携帯電話のことを「携帯」とせずに必ず「携帯電話」と記しています。日常生活の中では「携帯」と省略して呼びますし、最近では新聞記事でも略して使われることもあります。しかし、文章で記す場合には正確に「携帯電話」と表記することが大事です。なぜなら「携帯」は「身に着けたり、持ったりすること」という意味の言葉であり、電話機のことではないからです。文章を書くときは会話の中で使う言葉をそのまま表記してはいけないという一つの例です。

 メモの文章化を続けます。ここでは、一度は買い換えを断念した僕が一気にauへの乗換えを実行する劇的な展開が待っています。なぜ、断念した買い換え構想が一気に加速化したのでしょうか。

 メモ4)ついに買い換え決定 決め手は?←買い換えの際に発生する費用のシミュレーション auのサービスに対抗してDocomoが同内容のサービスを発表したことに対する感想

 「携帯電話の買い換えを断念してから2週間ほどが過ぎたころだった。僕はインターネットであるニュースを見て釘付けになった。それは『auが新規契約者でも基本料金を半額にするサービスを9月から始める』というものだった。これは衝撃的だった。
 よく調べてみると、2年間の使用契約を結んだ場合に限り、新規契約者でも10年以上の継続ユーザーと同じ割引率が適用されるというものだった。auへの乗り換えを断念した理由が基本料金の高さだったから、この問題がいきなりクリアされたことになる。この瞬間に一度は消えたはずの買い換え意欲が、がぜん勢いを盛り返してきたことは言うまでもない。
 そこで、今度は買い換えの際に必要となる費用をシミュレーションしてみることになった。まず、携帯番号ポータビリティを使ってauに転出する場合、Docomoの解約料に2,100円(税込み)、auの新規加入手数料に2,835円がかかり、計4,935円が必要となる。さらにDocomoでの割引サービスの途中解約金が3,150円発生する。ただし、僕の場合は7月が契約更新月だったために7月中に解約するのであればこの費用は不要であることが分かった。
 そして、auは新規加入であれば最新の携帯電話機種が無料で手に入る。充電器などの周辺機器を入れても6,000円以内で収まることが分かった。つまり、僕は6,000円で新しい携帯電話を手に入れることが出来るのだ。
 この時点で僕はほぼ買い換えを決心したのだったが、やはり10年以上も使っているDocomoに愛着があるのも事実だった。そんなときだった。Docomoが僕の愛着すらも失わせてしまう新サービスを発表したのは。
 Docomoはauに対抗するためにやはり新規加入者の基本料金を半額にするサービスを行なうと発表したのだ。これで僕はキレた。これで僕がDocomoで長期ユーザーであるメリットは完全になくなってしまったからだ。僕が思うに、Docomoはauの基本料金半額サービスに対抗するために同じサービスを行なうのではなく、僕のような長期ユーザーがauへ転出しないように長期ユーザー向けのサービスを充実させるべきだった。
 Docomoに失望した僕はauへの乗り換えを決心し、その数日後には新しい携帯電話を手に入れていた。

 以上でメモの文章化はすべて終わりです。でも、これで文章を書く作業が終わったわけではありません。ここからは文章の推敲(すいこう)に入ります。

 今までは個条書きのメモを文章の形にしただけで、それぞれのつながりに不自然な個所がある可能性もあります。また、表記が統一されていない、誤字脱字があるなどの不都合があるかもしれません。次回は文章の推敲についてお話します。

次回予告:文章の推敲

 文章をよりよくするための唯一の手段は推敲です。これを怠ると間違ったままの文章を読者に提供することになります。また、推敲を丁寧にすれば、それだけ文章は上手になります。次回は実際に書いた文章を推敲していきます。

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