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未知の世界に飛び込んで、文化的背景の異なる人々と出会い、いつかその人たちのことを書いてみたい——。幼いころからそんな夢を抱いていた著者が、16歳で単身アメリカの高校へ留学。英語がほとんど通じず苦労したり、文化の違いにショックを受けつつも、さまざまな人に助けられながら卒業するまでの3年間をユーモラスにつづった青春記。

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留学日記[留学を考える編]

By Kana Ishiguro / 石黒 加奈

16歳で単身アメリカの高校へ留学、その奮闘記と帰国後の生活をつづった人気コラム「ちょびつき」留学日記の新シリーズ、留学を考える編。「留学するには、どんな支度をしたらいい?」といった留学に関する素朴な疑問についてお答えします。
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Kana Ishiguro / 石黒 加奈

Vol. 6 : 米高校・大学での成績表の巻

第4回では私が実際に東海岸の大学で文学部だったときに受けた講義や試験についてお話させていただきましたが、今回は、少し別の角度から米高校・大学の留学を考えていきたいと思います。

これまで、たくさんの読者の方に米高校・大学の授業の内容についてご質問をいただきましたが、成績表については、あまり詳しく書かせていただいたことはありませんでした。

しかし、あらためて当時の成績表をよく見てみると、とくに高校のものはそれぞれの先生方が詳細にわたってコメントしてくださっているので、授業の内容を知るという上でも、学校の教育方針を知るという側面からも役立つことに気づきました。

まずは、高校の成績表を見る前に、どんな基準で成績がつけられているかの説明をご覧ください。


『石黒加奈のちょびつき留学日記[留学を考える編]』



  『石黒加奈のちょびつき留学日記[留学を考える編]』




日本でいうところの、◎、○、△ や、数字の10から1、5から1など、それぞれの成績のスケールを表すのが、ABCDF となります。AにもA+とA、それにA-があり、Aであれば、100点満点のテストの85〜100点ぐらい、Bなら70〜85点、Cなら60点代という感じでしょうか。(学校や先生ごとに多少異なります)

けれども高校では中間や期末テストの点数だけで最終的な成績が決まるというケースばかりではありません。日々のクイズの結果や出席率、課題やレポートの取り組み方もすべて考慮された上で決められる場合も多々あります。

また私立の高校では実際に成績が悪くてもDがつくことは稀です。そこまで成績が悪くなる前に、先生が個別に指導してくださるからです。となるとC を取っている生徒は、クラスでもかなり下の順位だと予想できますし、C- となると最下位の成績である可能性は高いです。

では、私が初めてアメリカの高校に留学したときの、最初の学期にESL(=English as a second language、第二言語としての英語)のクラスのシーモア先生がつけてくださった成績表を見てください。

B- という成績は、このクラスがESLであることを考慮すると、やや低めの成績です。クラスの中でCを取っている生徒は、たぶん1人か2人しかいないと思われます。けれども、よく見ると*がついていて、
"I have nominated Kana to the Head of School's List."
となっています。the Head of School's Listは、成績そのものより、ちゃんと宿題をやった、努力をした、などを重視して与えられる特別の評価です。

また、コメントの部分の書き方としては、第1センテンスでまず生徒を褒めるという先生のアプローチを見ることができます。

出来が悪い部分も「〜のスキルが劣っている」などと書くのでなく
"She is now working on building her vocabulary, improving her spelling, and increasing her listening comprehensions."
(現在は、語彙、スペリング、リスニングに力を入れています。)
という、前向きな表現を使っています。

シーモア先生は、ESLの先生ですのでとくに英語に自信のない生徒を励まして、褒めて伸ばすという方針でやっていらっしゃいましたが、これは他の先生方にも、かなりの部分で共通していたように思います。

次は、アドバイザーのアネット先生のコメントと保健のクラスの成績をご覧ください。保健のクラスにSの成績がついているのは、途中から入ったクラスだったので通常の成績をつけることができなかったからです。

次は、とくに苦手だった化学の成績と、1軍&2軍どころか3軍&4軍にも入れず、その下のチームでラクロスをしていたときのコーチのコメントです。

次は寮の先生のコメントと、高校で授業のほかにパスしなければならなかった様々なテストをパスしたという保護者宛てのお知らせです。(高校編の「Vol. 4 : 恐怖の水泳の試験」と「Vol. 5 : 恐怖のタイピングの試験」もあわせてご参照ください。)

最後にもうひとつ、アドバイザーの先生のコメントと、アメリカ文学のクラスの成績表です。アメリカ文学のクラスでは、毎回reading quiz がありますが、そういったクイズも重視している先生の方針が伝わる内容です。

ここまで見ていただくと、私の通った高校では試験の成績よりもimprovement (上達の具合)とeffort(努力)が重視されていたことを理解していただけると思います。

ここからは、大学の成績です。


まずは、最初に入った大学の、秋の学期の成績です。文学に関する講義などの成績があまりよくなかったことが分かります。また、ライティングのクラスではC-をもらっています。これは、間違いなくクラスで最下位の成績です。このライティングの成績を見て、アドバイザーの先生から文学部はあきらめたほうがいいという指導がありました。


大学での1年が終わって、夏にケンブリッジにあるハーバード大学でTOEFLの英語集中コースを取ったときのものです


これは編入したコロンビア大学での成績の一部です。通常の学期と夏の学期のものを紹介します。文学の講義を中心に受講していたことが分かります。


いかがでしたか? とくに高校の成績表は手書きのものもあって、時代を感じますね(苦笑)。日本の高校の成績表と異なっているという印象でしょうか? 


こういった成績のつけ方を見ていただくことで、海外留学を検討したり、留学先の学校を決めたりする上での参考にしていただければ、とても嬉しく思います。


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