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未知の世界に飛び込んで、文化的背景の異なる人々と出会い、いつかその人たちのことを書いてみたい——。幼いころからそんな夢を抱いていた著者が、16歳で単身アメリカの高校へ留学。英語がほとんど通じず苦労したり、文化の違いにショックを受けつつも、さまざまな人に助けられながら卒業するまでの3年間をユーモラスにつづった青春記。

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留学日記[高校編]

By Kana Ishiguro / 石黒 加奈

16歳で単身アメリカ留学。わからないことだらけのアメリカでの生活を振り返る石黒加奈の「ちょびつき」留学日記・高校編
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Kana Ishiguro / 石黒 加奈

Vol. 10 : 寮での生活 パート1

* ホールとは、hall of residence(学生寮)のことです。

私は、アメリカに親戚や家族がいなかったので、高校3年間を寮で過ごしました。クラスで学ぶ英語も大切ですが、寮の生活の中で身につけた英語もたくさんあったように思います。

ジョージ・スクールでは、留学生は英語上達のためネイティブの生徒と同じ部屋で暮らすという規則がありました。私はルーム・メイトにはとても恵まれ、1年目はマンハッタン、ダウン・タウン育ちのマディー、2年目はロシア系美人のエイミー、3年目は絵が上手でユダヤ系のエレイナと一緒の部屋で暮らしました。

若いマディーは、よくホーム・シックにかかるし、エイミーはロック好きのボーイ・フレンドがくれたとかいうテープを子守唄代わりにガンガンかけるし、エレイナは洗濯をするのをすぐ延ばしのばしにするしと、それぞれ問題(?)はあるんですが、みんな英語の苦手なルーム・メイトにほんとうに親切にしてくれました。

ところが、運悪く私は3年間ずっと、ホールでたったひとつしかない電話の隣の部屋をあてがわれてしまいました。電話は、1日のうちでも朝1時間ほどと、夜の2時間程度しか使用することができません。

英語がしゃべれない人にとって電話ほど困ったものはないのに、よりによって電話の隣の部屋とは〜。

電話がかかってきても出なくていいように部屋の隅に隠れていると、日本の両親からの電話だったりするからたいへん。それも時差があって、朝まだみんなが寝ている時間にリンリン鳴って、あげくの果てには父のよく通じない英語で

"Kana please, my daughter!" 

とか大声で言うものだから、電話に出てくれたホールの親切な女の子たちも眠い目をこすりながら不機嫌そうな顔をしている。

"Oh, thank you."

なんて蚊の鳴くような声で返事して部屋から出てきたものです。それで次回は電話に出ないとな〜と決意して出てみると、今度はほかの子のお母さんだったりして、それがだれのお母さんなのか分からないまま電話を切るハメに・・・。

ホールで英語になまりがあるのは自分だけだから、電話を出たのにメッセージを伝えなかったヤツがいるなんていう噂がたつんじゃないかとヒヤヒヤものでした。

そこで電話に出て人様にご迷惑をかけるよりは、初めから出ないでご迷惑をかけたほうがいいじゃないかと、電話には一切出ない時期もあったくらいです。

そんなこんなで、ほんとうに役に立たないホール・メイトだった上に、私は低血圧でもないのに朝はめっぽう機嫌が悪くて(でも、自覚症状は、まったくない)、ホール・メイトに挨拶されても返事もしない嫌なヤツだったらしいです。

挨拶もろくにしないかと思ったら、こんどはクラスに遅刻するとか言って、歯ブラシと歯磨き粉を手に、狭い廊下をビュンビュン走って洗面所へ行くし、一体あの日本人留学生は、どうなっとんねん、と思っていたことでしょう。

それでもホールに住んでいる女の子一人ひとりのために開く誕生日のお祝いパーティのときは、いつも別人のように元気で、フレンチ・オニオンのディップをポテト・チップスにつけたり、お砂糖の塊のようなケーキを

「これは、甘すぎるよ〜」 と文句を言いならが、バースデー・ガールでもないのに2つ食べたりしながら仲良くしてもらっていました。

たまに同じホールの女の子と一緒クラスになると宿題を教えてもらったり、勉強を見てもらったりと、寮の女の子たちとの共同生活は7年間の留学生活の中でいちばんいい思い出になりました。

クリスマスになると、それぞれだれかさんのサンタになったりしてプレゼントを交換したり、先輩たちや先生が徹夜で飾りつけしてくれたホールで、朝からパーティをすることもありました。その飾りつけは、ちょっと豆電球をつけたなんていう地味なものじゃなくて、「ここは、今まで私たちが生活していたホールだろうか?」と思うほどゴージャスで工夫された飾りつけでした。

そんなある日、ホール・メイトのひとりに

"Why do all Japanese girls have towels on their pillows?"

(どうして、日本人の女の子の枕には、みんなタオルが置いてあるの?) と質問されました。

確かに私の枕の上にはタオルがあったけれど、どうやら他の日本人留学生たちも全員同じことをしていたらしいのです。

「どうしてかな?」と考えてみると、アメリカ人の女の子たちは、みんな朝シャワーを浴びて学校に行くんですが、日本人の女の子たちは、どうやら夜シャワーに入って、そのまま寝ているので髪が濡れていたりする時があって、それで枕の上にタオルがあるということに気づきました。

些細なことだけれど、やっぱり文化の違いがあるんだな〜と、そんなところまでしっかり見ている女の子の観察力に驚きました。

私のほうでも、アメリカ人の女の子たちはお互い洋服を借りあったりするんだなとか、ニキビにはこんな薬をつけてるのねとか、靴を履いたままベッドの腰掛けることもあるのか、なんて毎日小さな発見があって、この頃は肌でアメリカン・ガールの生活を感じていたものです。

靴を履いたままベッドに乗ってしまうといえば、こんなこともありました。

ある日、洗濯嫌いのエレイナが私のベッドに飛び乗って

"Your bed's more comfy than mine."

(加奈のベッドのほうが、なんか心地いいね?)

と騒いでいるので、

"I don't get on my bed with my shoes on. Actually I don't wear shoes in my room at all."

(私は部屋で靴履いてないし、靴のままベッドに乗らないからだよ) と言ったあとに、

"Your bed is like a beach."

(あんたのベッドはビーチみたいだよ。 [ 砂でザラザラしている])

と冗談で返せるようになるまでには、ずいぶん時間がかかったんですけどね…。

つづく。

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