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未知の世界に飛び込んで、文化的背景の異なる人々と出会い、いつかその人たちのことを書いてみたい——。幼いころからそんな夢を抱いていた著者が、16歳で単身アメリカの高校へ留学。英語がほとんど通じず苦労したり、文化の違いにショックを受けつつも、さまざまな人に助けられながら卒業するまでの3年間をユーモラスにつづった青春記。

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留学日記[高校編]

By Kana Ishiguro / 石黒 加奈

16歳で単身アメリカ留学。わからないことだらけのアメリカでの生活を振り返る石黒加奈の「ちょびつき」留学日記・高校編
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Kana Ishiguro / 石黒 加奈

Vol. 22 : 車の免許を取る

この日記もいよいよ佳境に入ってきました。25回目の最終回まであと少しだというのに、時間配分をあまり考えていなかった筆者は、まだ高校1年生のころの話ばかりしていて、高校を卒業するところまでちゃんと書けるかな〜と心配になっている今日この頃です。 というわけで、ここからは、時間を早送りして、3年生のときのエピソードをご紹介します。

ご存知の方も多いと思いますが、アメリカは、州ごとに法律や制度が異なり、運転免許も各州のルールに従って発行されます。免許を取れる年齢も州によって違います。

私の高校があったペンシルバニア州では、16歳になれば運転ができたのですが、当時留学して間もない私は、とても免許を取る余裕などない生活をしていました。それで、結局、3年生(18歳)になってから取ることになりました。

そもそも、運転免許を取ることを決めたきっかけは、前回登場した「ちょびついた」父のひとことでした。

運動会で行進なんかをしていると、右手と右足が一緒に出てしまうくらい私が不器用なことを知っている父は、
「加奈ちゃんの実力では、日本ではぜったい免許取れないから、死んでもアメリカで取ってきなさい!」
とカツを入れられてしまったのです。

また、もうひとつの理由は、私の高校では、Drivers Education というクラス(ドラーバーズ・エドと呼ばれていました)が土曜日の早朝に無料で開かれていて、そのクラスを受講して修了証をもらえると、自動車保険料が一定額、割引してもらえるという特典があったことです。

アメリカは車社会で、若い人が大勢運転するので、そのぶん若い人による事故も絶えません。保険料もとても高く設定されていて、高校生にしてみるとこのドラーバーズ・エドは普通のクラスよりも生活にかかわる大切な講習でした。

それで、土曜日の早朝だろうが、なんだろうが、みんな目を皿のようにして講師の話を聞いたものです。

けれども、月曜日から金曜日まで宿題に追われて、やたらと早起きしているちょびつき筆者は、土曜日に寝坊できることだけが唯一の楽しみだったのに(日曜日は礼拝があるので、また、早起きしなければなりません)、その楽しみが奪われ、超不機嫌な顔をして参加していました。

そして、やっぱり土曜日の朝起きるのがイヤで、3年生になるまで免許を取るのを先延ばしにしていたルーム・メイトのエレイナも、私と一緒に散々文句を言いながら出席していました。16歳で免許を取れるのに、18歳まで先延ばしするという生徒は、あまりいなかったので、エレイナと私以外は、ほとんど後輩ばかりのクラスでした。

そして、ある朝!
"I am not going again. He turns off the lights and shows us car movies at 8 on Saturday morning! He is using us for some sort of psychological experiment and counting the number of people who fall asleep during the movie! He's trying to see how much boredom people can endure!"
(あたしは、もう行かない!土曜の朝8時から、部屋を真っ暗にして、車に関する映画かなんか、見せちゃって。これは、心理学のテストかなんかだよ。こういう状況で、何人うたた寝し始めるか、研究してるんだわ。人間は、どのくらいつまらないことに耐えられるかとかいう実験よ)
とエレイナ。

彼女は、自分は一生免許を取れなくてもいい、あたしは実験用のネズミじゃあないから、もう行かないと、そのままベッドに戻って寝てしまいました。

私も、すぐにも温かいベッドに戻りたかったのですが、お父さんの命令を思い出し、ひとりで泣く泣くクラスを受講し続けました。

こんなことを3ヶ月以上も続けて、いよいよ、筆記試験の本番の日が来ました。

アドバイザーのアネット先生に試験会場まで連れて行ってもらうと、まず目の検査がありました。当時は、私の視力は両目とも2.0 で、1キロ先のハエまで見えそうな勢い。でも、調子がよかったのはここまでで、コンピュータの前で4択の質問を答えていると、あっと言う間にバツが続いて、試験が終わりになってしまいました。3、4問間違えると、その時点で不合格となり、強制的に終了するシステムだったのです。

やたらと早く試験会場から出てくる私を見てアネット先生は、
"We can try it again next week."
(また、来週来れるじゃない!)
と慰めてくれましたが、寮に戻ってその話をすると冷酷なホール・メイトたちは、
"How could you possibly fail that stupid thing?"
(どうやれば、不合格になるのよーっぉ?!)
と人の気持ちも知らず、ゲラゲラ笑っています。

彼女たちに言わせると、
問1 運転中眠くなったらどうしますか?
1. タバコを吸って、ミントのきいたガムを食べる
2. 運転しながらコーラをラッパ飲みする
3. 車を安全な場所に寄せて、仮眠を取る
4. 音楽のボリュームを上げて窓を開ける
という問題があったら、私は、2とかを選んでしまったんだろう、とのこと。「『クラクションを鳴らせ』の標識を見せられて、『落雷注意』を正解に選んでいるんじゃないの?」などと、言いたい放題です。

「私、土曜日の朝、眠くてちゃんと先生の話を聞いていなかったからいけないのかな〜」
としおらしくしていると、
"You don't need to study anything. It's just common sense!"
(勉強することなんて、なんもないわよ〜。あれは、常識的に考えるだけよ)
と、まで言われてしまいました。

「非常識で、悪かったね」と、にらみをきかせたものの、その後も、私は3回も試験に落ち、4回目を受けるころには、あまりの悲惨さに、寮の女の子たちでさえ冗談が言えなくなってしまうほどでした。

さらに、筆記が終わってから、実技がありましたが、それも3回ほど格闘してやっと受かりました。

免許が手にできたのは、なんと、卒業式の1週間ほど前で、そこで落ちてしまったら、一生取れないだろうという、まさに「がけっぷち」に立った状態でした。

こうして何とか、父の計画通り、運転免許がもらえ、ペンシルベニアの免許を日本の免許に書き換えることができました。でも、ありがたいことに、東京は地下鉄が発達しているので、車を運転する必要がなく、つつがない毎日を送っています。 

つづく

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