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「ちょびつき留学英語日記」好評発売中!
未知の世界に飛び込んで、文化的背景の異なる人々と出会い、いつかその人たちのことを書いてみたい——。幼いころからそんな夢を抱いていた著者が、16歳で単身アメリカの高校へ留学。英語がほとんど通じず苦労したり、文化の違いにショックを受けつつも、さまざまな人に助けられながら卒業するまでの3年間をユーモラスにつづった青春記。

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留学日記[大学編]

By Kana Ishiguro / 石黒 加奈

16歳で単身アメリカ留学後、高校を卒業し、コロンビア大学に入学した筆者がトラブル続きの留学生活を振り返る「ちょびつき」留学日記・大学編
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Kana Ishiguro / 石黒 加奈

Vol. 3 : シェークスピアのクラス その1

コロンビア大学の正門へ続くブロードウェイのあたりを、旅行に行くようなイデタチの少女がとぼとぼと歩いています。後ろには、自分の体より大きなかばんを背負い、ちょっと見ると、ピカピカの小学一年生から黄色い帽子だけを取り除いたような感じです。
そうです。今日は、恐怖のシェークスピアのクラスが2つもある日なんです。

コロンビア大学の教授がテキストに選んだシェークスピア全集は、厚さが7〜8センチもある(あまり厚いので計ってみた)、とてつもないサイズで、そんな代物が2冊もカバンに入っているともう、ちょっとした旅行に行くときのような荷物の量です。

「これって、漬物石にはいいね?」と心の中で笑っては、「じゃーあたしは、漬物か?」と勝手に落ち込んでいました。

そもそも、どうして、シェークスピアのクラスを同じ学期に2つも取っているんでしょう、この少女は?

コロンビア大学のシェークスピアのクラスでは、毎週1つの劇を勉強します。つまり、秋学期(fall semester)または春学期(spring semester)の4ヵ月間、毎週、『ハムレット』とか『ロミオとジュリエット』とかを読むわけです。

これでは、普通に考えると、予習のためにとてつもない量を読まなければなりません。

そこで知恵(どちらかというと悪知恵か?)を働かせた、ちょびつき筆者。コロンビアでは、はす向かいにあるバーナード・カレッジ(女子大)で受けた単位も認めてもらえます。ならば、同じ時期に、シェークスピアのコースをコロンビアとバーナードの両方で取れば、その課題は大きく重複するはずで、本来、週2冊読まなければいけないところ1冊で済み、たいへんなシェークスピアの単位もいっぺんにゲットすることができるという算段でした。

我ながら賢いなぁ〜、とシメシメ顔でまずコロンビアのクラスへ行ってみると、教授は、
"As far as the text goes, I'd like you all to get Bevington, the 4th edition."
(教科書はね、僕的には、ベヴィントンかな。4版がいいと思うね。)

とか、やたら気取っている。続いて、バーナードの教授のクラスでは、
"The text, yes, I'd say Oxford."
(テキストは、そう、やっぱりオックスフォードかな。)
などと、こっちも、気取っている。

だいたい、どうして教授によってこんなに好みが違うかと言うと、シェークスピアは古典なので、その注釈によって、どうも、理解できる内容が大きく変わってくるらしい。

そこで、仕方なく、教科書の売っているブック・ストア行って、両方の教科書を手にすると、
「こ、こ、これは、まさに、漬物石 X 2冊!?!?」
ということになってしまったのであります。

あげくの果てに、シェークスピアと言っても、コロンビアの教授は、史劇(history)と悲劇(tragedy)が好きで、バーナードの教授は、喜劇(comedy)と悲喜劇(romance)が好きときた。

こうして、課題として出された劇はみごとに食い違い、私は毎週泣くなく、シェークスピアの劇を2つずつ読まなければならないハメになってしまいました。

"Why are you taking two Shakespeare courses this semester? That's suicidal."
(どうして、2つもシェークスピアのクラス取っているの? 自殺行為だね)

とクラスメートにも言われました。けれども、まさか、例の単純な悪巧みの話をするわけにもいかず、苦行僧のような生活を強いられる石黒。

でも、そんなカワイソウな生徒が約1名居るなどとは知らない、鬼の教授たちは、その手綱を緩めることなく、
"You guys should read the play at least twice before coming to the class."
(授業に来る前に、最低でも2回は読んできてください。)
"Once for the plot, and the second time for more details."
(一度は、あらすじをつかむために、そして、もう一度は、もっと細部に注意して)

とかいう恐ろしい発言を涼しい顔をして言っているしぃ。こういう発言をするから、教授には青い血が流れているのかなぁ、と真剣に悩む生徒が出てくるんですよね? 

"Also, you should watch either a movie or live performance of the play you are reading. These plays are meant to be watched."
(それから、今週読んだ劇の映画か舞台を見てくるようにね。シェークスピアは読むものじゃない、見るものですから)

とまで言い切っている。ここまで来ると精神的ショックも感じないぐらい神経が麻痺してきて、逆に前向きになったちょびつき筆者は、

"Handy-Dandy Family Tree"(便利なシャークスピアの登場人物のリスト)などを作成して、シェークスピア漬け(ときに漬物のの名前じゃないよ)の日々を送ったのでした。

つづく

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