●英字新聞社ジャパンタイムズによる英語学習サイト。英語のニュース、よみもの、リスニングなどのコンテンツを無料で提供。無料見本紙はこちら
英語学習サイト ジャパンタイムズ 週刊STオンライン
『The Japan Times ST』オンライン版 | UPDATED: Wednesday, May 15, 2013 | 毎週水曜日更新!   
  • 英語のニュース
  • 英語とエンタメ
  • リスニング・発音
  • ことわざ・フレーズ
  • 英語とお仕事
  • キッズ英語
  • クイズ・パズル
  • 留学・海外生活
  • 英語のものがたり
  • 会話・文法
  • 週刊ST購読申し込み
     時事用語検索辞典BuzzWordsの詳しい使い方はこちら!
カスタム検索
 
「ちょびつき留学英語日記」好評発売中!
未知の世界に飛び込んで、文化的背景の異なる人々と出会い、いつかその人たちのことを書いてみたい——。幼いころからそんな夢を抱いていた著者が、16歳で単身アメリカの高校へ留学。英語がほとんど通じず苦労したり、文化の違いにショックを受けつつも、さまざまな人に助けられながら卒業するまでの3年間をユーモラスにつづった青春記。

ご購入はこちらから!
電子書籍版「ちょびつき留学英語日記」も発売中!

留学日記[大学編]

By Kana Ishiguro / 石黒 加奈

16歳で単身アメリカ留学後、高校を卒業し、コロンビア大学に入学した筆者がトラブル続きの留学生活を振り返る「ちょびつき」留学日記・大学編
「ちょびつき」留学日記・高校編はこちら
「ちょびつき」留学日記・仕事編はこちら
「ちょびつき」留学日記・作家生活編はこちら
「ちょびつき」留学日記・留学を考える編はこちら
ちょびつき写真館はこちら
「Kana's英語のことわざ・名言手帖」はこちら
筆者へお便りを送る

Kana Ishiguro / 石黒 加奈

Vol. 15 : ちょびつき筆者、落第か? の巻

パート1:私のアレルギー

コロンビア大学に入学した当初は、うれしさのあまり、自分には極端に苦手なことがあるのをすっかり忘れていました。

実は、たいへんな数字アレルギーだったのです。英語ができないんだから、せめて数字ぐらい読めないという感じなのですが…とほほ。それに、細かく筋道を立てて客観的に物事を理解することが、極端に苦手でした(←過去形にしていいのか、石黒?)。今でも、予算作成の時期が来るたびに、会社を辞める、やめないの騒ぎを起こしては、同僚に呆れられているというお粗末さでございます。

案の定、大学では、そんな様々なアレルギー(?)が原因で、3度教授に呼び出されたことがありました。心理学、日本文学、それから経済学の講義を受講したときです。私のアレルギーチェックにおそるべき反応を表した3大悲劇です。

心理学は、人の心の中を読むという点で文学と似ているから、得意な科目かも、と思って取ったのですが、私の選んだクラスは"physiological psychology"(生理学からみた心理学)という実に変わった分野で、膨大な時間をネズミの実験に費やさなければなりませんでした。

こんなにか弱くて(?)、デリケート(!?)で若い女の子に、ネズミの実験をさせるコロンビア大学を恨めしく思いました。赤ちゃんの頃、山梨県の北巨摩郡でヤマネ(ネズミのようなものか?)に襲われそうになった経験があるからと言って、ネズミの行動を何時間も観察し記録して、数字からそのパターンを導き出すなんて、そう簡単にできるものではありません。

それでも最初のうちは、
"Hey, Micky baby, don't you want to have a little bit of my sugar water?"
(あたしの、かわいいミッキー・マウスちゃんや、お砂糖の入ったお水をちょっと飲みまちゅか?)
なんて、おろおろしながらも、何とかネズミを操ろうとしていたのですが、ネズミは思うように動いてくれません。

"So what the hell are we gonna ever learn from this goddamn lab?"
(だから、このわけの分からない実験から、いったいあたしたちが、何を学ぶってのさぁ!)
と、私がイライラして言うと、ヒュー・グラントのようにハンサムなパートナー(実験はたいてい二人一組でやります)が、ずれたメガネを直しながら、
"Well, we are supposed to learn how to make people want to quit smoking, amongst other things."
(えーっと、例えばさ、どうやれば人間が禁煙したくなるか、とかだよ。)
と、教科書どおりの答えをしてくれました。

こんな調子でしたから、中間試験では、100人を超えるクラスの中で下から5番以内の成績を取ってしまい、教授に呼び出されたのです。

"Just a thought, but perhaps, next time, you might consider coming to see me. You know my office hours, don't you?"
(石黒さん、オフィス・アワーをもっと活用なさったら?)
と教授。でも、ふと見ると、教授のデスクには鬼のような量のたばこの吸殻が!?

「なーんだ、ネズミを使って禁煙の実験をして、結局ストレスをためて、たばこを吸ってるじゃない」
と勝手に決めつけて、反省するどころか
「こんな実験は、役に立たないに違いない!」
と憤慨していました。(←逆切れ?)

それでも、所詮は小心者の筆者。最後は、ぎりぎりの成績を取って単位をもらいました。

次の呼び出しは、文学好きの私としては意外や意外、日本文学のクラスでした。これも100人近くの受講者がいる講義でしたが、中間試験では、その中でほぼ最低の点を取ってしまったのです。

"Kana, for every class, you're always well-prepared. What happened?"
(加奈さん、授業にはちゃんと準備してきているって分かっているよ。なのに、今回はどうしたのかな?)
と、同情に溢れる声で、親日家の教授が聞いてくれました。

志賀直哉や泉鏡花などは自分の好きな作家でありながら、その作品を英語で読むとなると、不思議なことに最後まで違和感を拭えなかったのです。また、自分の母語で書かれている文章を、フランス哲学を使って分析するなどという客観的な視点は、どうしても持つことができませんでした。

最後は、経済学の講義でした。きのうは財政、今日は福祉と、社会の問題を数字を使ってケース・スタディする能力が私には完全に欠けていました。よって、このクラスの中間テストでも最低点を取り、教授のオフィスに呼び出されました。

「AということがBという場所で起こった。そこにはCという要因がある。それゆえに、Cが存在するDという場所でも同じことが起きる可能性がある。しかし、CはAが起きるための十分条件ではないから、Dをさらにリサーチする必要がある。それには、Eという別の場所での事例が参考になるだろう。さらに……」 こういった頭脳明晰な教授の説明を聞きながら、
"I just don't get this."
(こればっかりは、どう逆立ちしても理解できない)

自分の思考回路のシャッターが降りるのをはっきりと自覚した筆者なのでした。

パート2につづく。

英語のニュース |  英語とエンタメ |  リスニング・発音 |  ことわざ・フレーズ |  英語とお仕事 |  キッズ英語 |  クイズ・パズル
留学・海外就職 |  英語のものがたり |  会話・文法 |  執筆者リスト |  読者の声 |  広告掲載
お問い合わせ |  会社概要 |  プライバシーポリシー |  リンクポリシー |  著作権 |  サイトマップ