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未知の世界に飛び込んで、文化的背景の異なる人々と出会い、いつかその人たちのことを書いてみたい——。幼いころからそんな夢を抱いていた著者が、16歳で単身アメリカの高校へ留学。英語がほとんど通じず苦労したり、文化の違いにショックを受けつつも、さまざまな人に助けられながら卒業するまでの3年間をユーモラスにつづった青春記。

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留学日記[大学編]

By Kana Ishiguro / 石黒 加奈

16歳で単身アメリカ留学後、高校を卒業し、コロンビア大学に入学した筆者がトラブル続きの留学生活を振り返る「ちょびつき」留学日記・大学編
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Kana Ishiguro / 石黒 加奈

Vol. 17 : 10年前のちょびつきバースデー♪

電子メディア室のOさんが、そろそろ30歳になるというので、オリジナル・カウントダウン・カレンダーを作ろうとわくわくしているちょびつき筆者(本人には、そーとー疎まれているが…)。そのわけは、部署で最年長の私に、30歳のお局仲間ができるからなのです。かかか。

しかしながら、通勤途中に、成人式の着物を着た女性たちを見かけ、はっとしました。私が着物を着たのは10年も前の話(ひと昔ってやつです)で、O選手が30歳になったのを喜んでいるのもつかの間、自分は31歳になってしまうのでありました。とほほ。

そして、ふっと「10年前の誕生日は、何をやっていたのかな?」と…。

昨日の夕飯も思い出せないのに、10年も前のことが思い出せるのだろうか? それが、昔のことはなぜか、やたら鮮明に覚えているんですねー。そこで、今日は、21歳のバースデーのエピソードをお話ししたいと思います。

当時の私は、コロンビア大学からたった6ブロック(徒歩7分=私の足の長さで)しか離れていない110丁目の部屋で暮らしていました。21歳の誕生日には、アメリカのハイスクール時代のお友だちの恵子ちゃんが、わざわざペンシルベニア州から、この110丁目のお部屋に遊びに来てくれていました。

ハイスクール時代の私と言えば(高校編をご覧いただければ、一目瞭然!)、山梨からアメリカに来たばかりの、田舎育ちのやんちゃ娘で、恵子ちゃんは、茨城県の私立病院のご令嬢。私は子どものころ、馬で野山を駆け回ったり、野原を歩いての通学していましたが、彼女は、もちろん、車での送り迎え。こんなにも育った環境の違う2人の間で、どうやって会話が成り立っていたかは謎ですが、同じ寮に住んでいるうちに、親しく話をするようになりました。

彼女にとって私の話は、都会しか知らないクララが、アルプスの少女ハイジから山の話を聞いたときのような、新鮮さがあったのかもしれません(笑)。

かといって、自由奔放に育って粗野な(?)経験の豊かな私のほうが、物知りでしっかりしていたというわけではありませんでした。もちろん私には、経験から学んだ知恵が多少なりともありましたが、恵子ちゃんは綺麗なだけでなく、とても賢い女の子で、学校の勉強でも、お友だちとの関係についてでも、好きな男の子のことでも、将来の夢についてでも、どんな話をしても、どんな質問をしても、いつも感心する答えが返ってきたものです。

子どものように、「どうして? なんで?」 が口ぐせの curious-kana (知りたがり屋の加奈ちゃん) は、そんな彼女と話をするのが楽しくて、知り合ってしばらくすると、自由になるわずかな時間は、すべて彼女と一緒に過ごすまでになりました。

そんな彼女が、津田梅子女史が通ったペンシルベニアの女子大に入学してしばらくしたある日、電話で、 「私、学校のポストオフィスで働いているの。時給は、6ドルよ」
と言いました。「恵子ちゃんが、仕事!?」そんなことをご両親が許すわけがないと思っていましたが、彼女の話では、キャンパスでの仕事だったらいい、と許可がおりたそうな!

「へー、恵子ちゃんの家にも革命が起きたね〜」と散々、彼女をからかっていたことを、ちょびつき筆者は、そのあと1年以上もたった21歳の誕生日に深く後悔することになるのです。

その日、恵子ちゃんは、お酒が飲めない私のために、シャンペンをグレープフルーツで割ってお祝いをしてくれました。そして、お誕生日のプレゼントだと言って、白のリボンが かかった水色の箱を私に渡しました。
空けてみると、シルバーの指輪が入っていました。

「初めて、自分で働いて買ったのよぉ〜」とそう言って、小さな女の子のように笑いました。

初めて会ったとき、寮に荷物を運ぶのを手伝わせようとした私をきょとんとした顔で見ていた彼女。私が寮に戻ってきたときに寂しくないようにと、私の部屋から見える彼女の部屋の窓明かりをいつもつけておいてくれた彼女。働いたこともないくせに、「加奈ちゃんが物書きになりたいなら、あたしが稼いで食べさせてあげるわ」と豪語していた彼女。そんな彼女の姿を思い出して私は泣いてしまいました。

さっそく指にはめてみると、少し緩かったので、後でティファニーに交換しに行こう、と恵子ちゃんが言いました。
「ティファニーってNYにあるの?」と私が思わず聞くと、
「マンハッタンに暮らしているのに、今まで、どこで、何をやっていたの?」と半分あきれながらも、彼女はカラカラと大笑いしていました。
「いや、大学、大学のプール、角のスーパー、家、という謎のスクエアの中で暮らしているのさ」と、不敵の笑いを浮かべた私を見て、彼女はきっと、ティファニーの指輪なんぞは、この人には『豚に真珠』だわ、と思ったことでしょう(苦笑)。

つづく

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