先日、英語を話すお客様が大勢いらっしゃる、という東京のお花屋さんのWちゃんから、英語学習の悩みを相談されました。
「加奈さん、もう、ここ2年ほど英語をやろうと思っているんですけど、中学の文法からおさらいしなくちゃいけないレベルで、どこから手をつけていいか分からないんです…」とのこと。
たしかに、私も中学のときに習った数学の方程式や物理の数式などは、完全に記憶の彼方だし、学校に通わずして一から英語の勉強をするのはなかなか至難の業。
「まずは、"Repeat after me.(後に続いて発音してください)"っていう形式のCDを聞きながらリスニングとスピーキングを練習して、絵つきのシンプルなセンテンス集を勉強し始めたんです」と、Wちゃんは新品のテキストを見せてくれました。
方向性としては間違っていないのですが、これだけで完全に結果がでることは保証できないな、と思った私は、その後、家に帰ってから、「中学の文法=英語の基礎から勉強し直したい」というWちゃんに、一体どういった具体的なアドバイスをすればいいか考えました。
まず、ひらめいたのは、私が長年愛用している中学生の参考書を復習する、というアイディアでした。この参考書は、英文法が30項目ほどに分かれていて、それぞれの項で、基本的な文法を勉強できるようになっています。be動詞に始まり、一般動詞、進行形、未来形、比較表現、命令文、不定詞、動名詞、受動態、そして、後半には現在完了や関係代名詞などもあります。
こうして見てみると、「どの文法も大事だな〜」と思わざるをえないのと同時に、「こんな小難しい文法用語を見たら、英語の勉強をする気が失せる人がいてもおかしくないよね」と感じてしまうのであります。
ならば独断と偏見で、「これだけは!」という文法を厳選しようとして、やっと思いついたのは「受動態と関係代名詞はそんなに必死になって勉強しなくてもいいかな?」という大変あいまいな答えでした。
私が日本の中学にいたころは、"This book was given to me by Amy."(この本はエイミーによって私に与えられました。)といったような受動態の練習をかなりさせられた記憶がありますが、このような文章をアメリカの高校のレポートなんかに書いた日には、
"Amy gave me this book."と赤を入れられた上に、「まわりくどい表現は避けましょう」
なんてコメントが付いていて…(苦笑)。
とにかく、giveの過去分詞がgivenであるということを知っていることは、のちのち関係代名詞を勉強する際に必要になってきますが、受動態を勉強するのにむやみに時間をかけなくてもいい、というのが私の勝手な考え#1です。
次に関係代名詞ですが、関係代名詞は、文章を書いたり読んだりするには、どうしても知っていなければならない文法ではありますが、「花屋として、お客様との会話を上達させる」ということがゴールである場合は、後回しにすべきだと思われるのです。
関係代名詞は、複雑で、英語が嫌いになったり面倒になったりする原因になりかねないし、関係代名詞を勉強する前に、それ以外の基礎を強化した方が会話上手になれる、というような直感(笑)が働いたからです。
といった2つの理由から、Wちゃんには文法を勉強する際、基本的な動詞の過去分詞は覚えた方がベターであるが、受動態、関係代名詞の勉強は後回しにしましょう、とアドバイスすることにしたのでありました。
なお余談ですが、現在完了の勉強は後回しにしないほうがいいと思います。その理由は、久しぶりにお店にいらしたお客様に、
Wちゃん:しばらく、お見かけしませんでしたね?
と問いかけたら、
お客様A:I've been away for a while.(ええ、しばらく日本を離れていて…)
という返事が返ってくる可能性が非常に高く、お客様との会話でも現在完了が頻繁に使われることが予想されるからです。
しかし、当然、これでも十分なアドバイスとはいえないので、ちょびつき筆者は、次なるアドバイスを考えたのでありました。
その2へ、つづく
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