週刊STの読者の皆さんは、テレビを見たり、ラジオやインターネット・ニュースを聞いたり、新聞や雑誌を読んでいるときに、
「あ〜、このアーティスト大好きなんだよな〜。インタビューする人が、こんな質問をしてくれたらいいのになぁ〜」と思うことはありませんか?
必ずしも関心がある人物でなくても、興味のあるトピックについてジャーナリストが専門家に質問する場面では、つい「次はこれを聞いてくれるといいな」なんて期待してしまったこともあるかもしれません。
私は先日、"The Joy Luck Club"で有名なAsian-American(アジア系アメリカ人)の作家Amy Tanさんの"The opposite of fate"(Harper Perennial刊)という本を読んだのですが、その最後にP.S.(追記)のセクションがあって、Q&A(質問と筆者の回答)が載っている、という嬉しいことがありました。
本の巻末にこうした&があるのは珍しいので、本の中身とは別に楽しんで読むことができました。というのは、下記、『ライ麦畑でつかまえて』の筆者サリンジャー氏が、登場人物のホールデン少年の声を通して書いているように、
"What really knocks me out is a book that, when you're all done reading it, you wish the author that wrote it was a terrific friend of yours and you could call him up on the phone whenever you felt like it. That doesn't happen much, though." (Holden Caulfield in "The Catcher in the Rye")
ほんとうに「いいな〜」と思うような本を読んだ後は、筆者が自分の親友で、いつでも電話をかけられる相手だったら、どんなに素晴らしいだろうと、常日頃から感じていたからです。
その上、今回は、私もTan さんにこんなこと聞いてみたいな、と思うような質問がたくさん! ここでそのうちのいくつかを紹介します。
"What is your idea of perfect happiness?"
(あなたにとって至福とはどんなものですか?)
"What is your greatest fear?"
(あなたがもっとも恐れているものはなんですか?)
"Which living person do you most admire?"
(今、生きている人の中で、いちばん素晴らしいと思う人は誰ですか?)
"What objects do you always carry with you?"
(いつも、どんなものを持ち歩いていますか?)
"What is the most important lesson life has taught you?"
(今まで得たもっとも重要な人生の教訓はなんですか?)
などなど…。
もちろん、実際にTanさんを取材するという機会に恵まれたら、憧れの作家のひとりとして、彼女の本についてもっと具体的なことを聞きたいようにも思いますが、そういった質問は、却って他の読者の方には、つまらなくなってしまうのかな、という気持ちもあります。今回の質問のリストは、ある意味ではgeneral questions (一般的な質問)ですが、多くの方が共通に興味を持てる質問だと思うのです。
こういった英語の質問を、自分の憧れの人に取材する場面を想定して考えるのは英語の練習になりますし、まずは、自分でその質問に答えてみると、「こういう質問をされたら、答えるのが楽しいだろうな」など、質問に答える立場に立って物事を考えられるというメリットもあります。またクレオパトラや徳川家康のような歴史上の人物や、シャーロック・ホームズなどの本の登場人物を相手に考えてみてもいいでしょう。
最後に感じたことをひとつ。口頭で質問するのと、質問のリストをお渡しして文章で返していただくのとでは、ずいぶん異なる、ということです。取材などで口頭で質問するときは、時間も限られていますし、お互いに緊張しているので、思うように会話のキャッチボールができないこともありますが、後から書いて返信してもらえるのであれば、相手の都合のいい時間に、リラックスしながらゆっくり考えた上で答えてもらえるので、逆に深い回答が期待できるかもしれません。もっともone-on-one interview (一対一のインタビュー)では、即興の面白さなんかがありますが…。
いずれにしても「今、こんな人に直接会えたら、こんなことを聞いてみたいな〜」という対象がいたら、ぜひいちど、英語で質問をまとめて、『理想のインタビュー』を作ってみてください。ワクワクしながら英語が勉強できること間違いなし!です。
つづく
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